「登山」と言うと、どこか遠い存在に感じてしまうのは、私だけではないはず。休みの日に、山道を何時間もかけて歩き続けるのは、腰が重い。なんなら登山は、言うなればリタイア世代が楽しむものである気もしてしまう。
ちょっとした登山やトレッキングなら何度かしたことがあるが、いずれも南国で、軽装で十分であった。旅行中のアクティビティのひとつとして参加したもので、「登山」自体を目的に、行動したことはない。
しかしコロナによる自粛生活が長引くにつれ、不思議と高まってきたのがアウトドア欲。メディアも頻繁にアウトドアを特集するようになり、運動不足な毎日を送っているせいか、今では本格的な登山にすら挑戦してみたくなっている。
こんなにも自然を求めるなんて、自粛生活に疲れているに違いない。これが人間の本能なのかも。
そこで、今回私が話を伺ったのは、登山ラブ!な30代の友人夫婦。二人とは彼らが結婚する前からの仲で、週末よく登山に出かけているのは知っていた。彼らの話を聞けば、登山をはじめるにあたってのヒントが得られると思ったのだ。
登山好き夫婦のプロフィール
神奈川県在住の、笑顔が絶えない仲良し夫婦。2019年に第一子となるお子さんが生まれる前は、毎週末アウトドアにいそしんでいた時期も。今はもうすぐ1歳になる息子さんと一緒に、次のアウトドアの予定を夢見るのが楽しみだそう。
夫のMさんは、登山歴約14年、登山回数はなんと150回以上!妻のYさんは、旦那様との付き合いがきっかけで登山をするようになり、本格的な登山は10回ほど経験があるとのこと。
パートナーの趣味を一緒に好きになれるって素敵。二人でますます登山が好きになってしまうではないか。
そんな二人の話には、登山を楽しめるヒントが満載であった。写真はもちろんすべて、二人がこれまで撮ってきたもの。今すぐ登山に行きたくなるものばかりだ。
登山にハマったきっかけは?
[夫 Mさん] 25歳くらいの時に、友人に誘われて、長野県の浅間山のグループ登山に参加したことがきっかけです。
それまでは毎年夏に富士山に登っていましたが、山それぞれに強い個性があることを知って、ほかの山にも登ってみたい!と思うようになりました。
[妻 Yさん] 私は夫に誘われて、軽めのハイキングに挑戦したのがきっかけです。そのときはまだ付き合ったばかりの頃だったかな?登頂後の達成感とそこから望む景色に魅了され、大の苦手だと思っていた登山にハマってしまいました。
また、頂上で食べるカップラーメンの美味しさには衝撃を受けました…!いつもの50倍は美味しく感じます!
登山で大切にしていることは?
[夫 Mさん] テント泊の時は、荷物は最低限にしてできるだけ軽量化した分、酒とおつまみをたっぷり持っていきます。絶景の中、山の湧水で飲むウイスキーの水割りは格別です。
下山後は、その地域ならではの名産品もしっかり楽しみます。温泉もあれば、絶対に立ち寄りますね。
[妻 Yさん] 気をつけているのは、張り切りすぎず、無理をしないことです。私は上りは得意だけれど、下りが苦手なタイプ。最初に飛ばしてしまうと後に地獄をみることになるので、自分の体調や脚腰の状態と向き合って、ペース配分に気をつけています。夫には「山をなめるな!」と口すっぱく教育されているので…(笑)。
初心者にもおすすめできる登山スポットは?
[夫 Mさん] 日本百名山のひとつ、那須岳(栃木県)はロープーウェイがあるため、手軽に絶景を味わえます。
主峰の茶臼岳までなら往復2時間。物足りない人は朝日岳、三本槍岳への縦走路(往復6時間)もあります。
また周辺には温泉や雑貨店、レストランやスイーツなどのグルメスポットが沢山あり、下山後も楽しめます。
[妻 Yさん] 私は王道ですが、高尾山(東京都)です。ロープーウェイで山の途中まで上り、お団子を片手にのんびりお散歩を楽しむ印象が強いですが、「六号路」という登山口からだと自分の脚で頂上を目指すことができます。
難易度も低いので、短時間でリフレッシュしたいときにもぴったり。高尾山のワイルドな一面が見たい方、自然に癒されたい方はぜひチャレンジしてみては。体力に余裕があれば、高尾山の奥にある城山まで足を伸ばしてみるのもおすすめです。
今までで一番良かった登山スポットは?
[夫 Mさん] 飛騨山脈南部にある、槍ヶ岳です。2泊3日のテント泊で挑みました。憧れの日本アルプス。
雲の上でのテント泊は最高でした。忘れられない思い出のひとつです。
[妻 Yさん] 私は日本百名山のひとつ、雲取山(東京都)です。標高が高くなるにつれ表情がどんどん変わっていくのが楽しくて、まるで旅行をしているような感覚でした。
登り始めは青々と草木が生い茂っていたのに、頂上付近になるとパーッと視界が開ける場所にたどり着くのですが、この瞬間は鳥肌が立ちました!
頂上からの景色はただただ圧巻。写真には収めきれない絶景は最高のご褒美でした。
今後行ってみたい登山スポットは?
[夫 Mさん] 息子がもう少し大きくなったら、妻と3人でどこの山でも良いので登りたいです。
[妻 Yさん] 私も同じです!家族3人でどこでも良いので山に登りたい。
初心者へのアドバイスは?
[夫 Mさん] 登山口までのアクセスを含めた、しっかりとした登山計画が大切です。初心者のうちは特に、入念な下調べと準備をして登山を楽しんでください。
[妻 Yさん] 女性なら帽子や日焼け止め、アームカバーなどの紫外線対策アイテムはマストです。
黒やネイビーなどの暗い色は紫外線を通しにくいと言われているので、帽子やウエアなどはダークカラーを選ぶことをおすすめします。
日焼け止めは汗で流れ落ちてしまうので、2時間に1度くらい、こまめに塗り直すよう心がけていました。
インタビューを終えて
終始楽しそうに話してくれた二人の姿が素敵すぎて、登山ってなんて素敵だろうと思ったし、たくさんの人が登山に魅了されている理由がわかった気がする。
コロナが落ち着いたら、まずは近場の山から挑戦してみたいと思う。妻のYさんおすすめの、高尾山もいいかもしれない。自粛生活でたまった鬱憤とした気持ちもスカッと晴れるはず。
以下の記事は、都内から日帰りで行ける初心者向けのハイキングコースを特集したもの。ハイキングといっても、本格的な登山やトレッキングができる場所もあるので、こちらもぜひ参考にしてみてほしい。